みんな大好きNeutron。
今回はNeutronのTransient Shaperを使ってNeurofunkにおけるドラムをデザインしていきましょう。
プラグインの使い方自体はマニュアルや他の方の記事を読んでもらうとして、ここでは何を狙ってTransient Shaperを使うのか、どう言ったメリットがあるのかにフォーカスします。
キック
まずはキックを見ていきましょう。
Neurofunkを作る場合、市販のサンプルはちょっと音が長いことが多いです。
自分でNeurofunk用に作ったサンプルでも同じ傾向にあると感じます。
これはなぜなのか、僕なりの考察としては2点の理由があります。
まず一つ目。
サンプルを制作する側としては短いよりは長めに作っておこうと考えるはずです。
市販のサンプルを使う場合、長ければフェードを描くなどして短くするのは比較的造作もないことです。
一方長くすることは難しい。できはしますが、サンプルをストレッチすると劣化は避けられません。
そして二つ目。
Neurofunkは音圧が高めの音楽である。
よって制作時にはあらゆるステージでコンプレッションを行います。
トラックで、バスで、マスタリングでと言ったように。
こういった過程において必然的にキックのテール部分、余韻の部分が上がってきます。
多くの場合キックからトラックメイクを始めると思いますが、最初にサンプルを置いた時点では適切な長さだとしても、後のプロセスにより思った以上にテールが伸びてきます。
結果としてサブベースとぶつかり飽和してしまったり、スピード感/グルーヴ感が損なわれるという結果につながります。
このように考えると、要所でキックの長さについてはチェックし、見直していく必要があります。
そんな時にオススメなのがマルチバンドのTransient Shaperです。
ここまでのお話からもわかるように、僕はマイナス方向で使うことが多いです。
ある曲の一例⬇︎
クロスオーバー周波数は200Hzと5kHzあたり。キックなら大体このあたりが使いやすい。
(曲のキーやキックのピッチによってもちろん調整はしますが)
キモはやはり一番下のバンドです。
オレンジ色の200Hz以下のバンドでサスティンをガッツリ下げています。
これによってサブベースとの干渉を避けようという狙いです。
また、NeurofunkであればBPMは174前後と早いですし、キックが細かくなる曲であれば特にですが、キックが長いと悪い意味で重たいグルーヴになりがちです。
もちろんキックとサブの棲み分けはTransient Shaperだけで行っているわけではありません。EQで棲み分け、サブをダッキングし、Transient Shaperでキックのローを詰めるといった複合的なプロセスになります。
さて、ではなぜTransient Shaperを使うのか、なぜマルチバンドの物を選ぶのかについてです。
端的に言うと、より狙った鳴りに近づけるためです。
キックのサンプルにフェードを描いただけで上手くいくこともありますし、EQで対処できることもありますが、そうやって理想に近づけて来たキックを、他の楽器との兼ね合いや、後に行ったプロセスを考慮して調整する場合、今回の例の様にローのサスティンを下げることでドンピシャにハマることが多いです。
そう言った意味で必須とは言えないまでも、マルチバンドのTransient Shaperを選択肢として持っておくことはオススメできます。
スネア
スネアについても目的はほぼ同じです。
キレのあるグルーヴを実現するために伸びてしまったテールを短くします。
今回例にあげた曲ではマスタリング段階で「スネアちょっとなげーな」と感じたのでTransient Shaperで詰めました。
まず一番下、オレンジのバンドです。
このスネアは基音が230Hzあたりなので、基音が影響を受けないようにちょっと下の160Hzにクロスオーバーを設定。
ここはサスティン、アタック共にガッツリ下げます。
次、黄色の一番上のバンドです。
ここのクロスオーバーは4.7kHzでした。
わかりにくいですがサスティン-3.5、アタック-0.8とここも下げ傾向です。
シンバルやシンセ類のハイとの兼ね合いを考えつつの調整です。
最後、真ん中の緑のバンド。
ここはサスティンのみ-2.4。
基音を含む最も重要なバンドなので正確な調整が求められます。
もしここで大きなテコ入れが必要なようであれば、そもそも別のスネアに差し替えることも検討しましょう。
まとめ
実際にやってみるとスネアの方がビフォー/アフターで違いが分かり易いです。
スネアの方が耳につきやすい帯域で鳴っているので。
キックのローの方はある程度良いモニター環境がないと判断しにくいと思います。
ですがコンプすればするほど、聴こえなくてもローの信号は上がっているのです。
適切なローのmixを目指すならば、やはりモニター環境も重要ですね。
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